こもれび12周年うらら5周年記念写真本年、当院は12周年、病児保育室うららは5周年を迎えました。皆様におかれましては今まで支えていただいた事への感謝とともに、この場をお借りして、お詫びを申し上げなければなりません。近年のコロナ禍における感染対策及び本年の季節外れのインフルエンザの大流行等により、夏場の暑い時期には、長時間車で待っていただいたり、寒い時期には早朝から屋外で並んで受診の順番を待っていただいたり、多大なご迷惑をおかけしております。本当に心苦しい限りです。大変申し訳ございません。

診療を予約制にすれば、多少なりとも混乱が緩和されるのではないかと考える事もありますが、開院当初より私は小児は急性疾患が多く、具合が悪いときはいつでも受診できて、重症な方が優先的に診療が受けられるような体制が理想的であると思ってきたため、導入はしない方針でいます。しかし現実的には、患者様の人数があまりにも多い日に関しましては、すぐに対応できず、午後の診療に回っていただいたり、何時間もお待ちいただく等、対応し切れていない場合も最近は増えてしまいました。本当に申し訳なく感じております。

病児保育室うららについては、年々、利用してくださる方が増えてきて、リピートしてくださる方も多く、本当にありがたいと感じております。しかしながら、コロナ感染の場合はお預かりができない、発熱があれば基本的に入室前にコロナの検査が必要であるなど、やはりこちらも大変なご不便をおかけしています。こちらも皆様にはご不便をおかけしている状況で本当に心苦しく感じております。

当院の限られたマンパワー、キャパシティーの中で精一杯不便な状況の改善に努めていこうと思っておりますが、即座に解決できる問題ではないと思われます。何卒御理解の程をよろしくお願いいたします。

お詫びばかりになってしまいましたが、最後に「赤ひげ先生」というのをご存じでしょうか?山本周五郎の「赤ひげ診療譚」という小説に出てくる弱者の味方の正義のヒーローのような医師です。実は私の故郷に昔、この小説を地で行ったような医師がいたそうです。今のような保険制度もなかった時代で、医療は実費で非常に高額なものでした。お金がなくて病気になっても医療を受けられない方々がたくさんいた中、その医師は、貧しい人からは金銭を受け取らずに治療をしていたそうです。報酬的なものがあるとすれば皆からの野菜や果物のお礼をもらうことぐらいだったらしいです。今の時代では考えられない事ですし、まずはあり得ない話ですが、この先生の想いというのは単純に無料で診療していたという事ではなくて凄く深いものであると私は感じます。自分にはそのような度量は今のところ備わっているとは思えませんが、少しでも、そのような医師(意思)に近づけるように心がけていきたいと思います。

小児科医 丹 哲士

 

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